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「朝霧」の思い出 [昔々のこと]

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 長くい夏でした。終わりがあるのだろうかと思えるほど強烈でしたが、この間からの雨を境に案外あっさりと引っ込んでくれました。天気予報ももう猛暑はないだろうと言ってます。

 もっともまだ九月の初め、センチメンタルになったり物思いにふけるほどには秋めいていないのですが、久しぶりに古いお店の話でもしてみようかと思います。

 今回は恒例のマッチがありません。頻繁に出入りさせてもらっていたのにマッチ一つないのは、親しすぎたからか、元々マッチを取り扱っていなかったのかはっきりしません。

 舞台はやはり東京です。ジャズ喫茶に限らず私の話に出てくるお店は30年以上も昔のことなので今は現存しないお店がほとんどなのですが、これからお話しするお店は代替わりし、名前を変え業態を変えながらも今も続いています。

つづく


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白い鳥 [昔々のこと]

 小学何年生のときだったか忘れましたが、東映アニメ映画「安寿と厨子王丸」を見ました。その頃、私達が映画を見るというと学校の講堂でした。多分全校生徒が揃っての映画鑑賞会だったと思います。

ダウンロード.jpg http://youtu.be/2gR7kyF7Sa0

 この映画は1961年の作品ですが、地方のしかも田舎の小学校に封切りの年に回ってきたとは思えないので、それより1.2年後、つまり私は小学3.4年生くらいになっていたと思います。

 その後、何回もテレビで再放送されました。その頃は映画がテレビで放映されると技術が伴っていなかったのか、全体が縦長になって映しだされたものでした。人物もひょろっと背が伸びて写っていた記憶があります。しかし、そんなことを抜きにしても、見るたびに子供ながらもなんとも切ない思いにさせられたアニメ映画でした。

 この作品は、森鴎外「山椒大夫」が下敷きになっています。無実の罪で国を追われた官吏の家族の物語です。母と姥、姉弟が旅の途中、人買いにだまされて離れ離れになり、姉弟は恐ろしい山椒大夫に買われて重労働を強いられます。

 物語はうろ覚えですが、途中で姉が亡くなって、白い鳥になり終始厨子王丸を見守るシーンは子供ながらに印象的でした。はじめはそれが死の象徴とわからず、姉が変身しているのだと思ったものです。

 やがて厨子王は成長して出世し、「安寿悲しや、ほうやれほ。厨子王悲しや、ほうやれほ」と歌う盲た母親と再会するシーンは何度見てもぐっとくるものがありましたね。

 子供の私はアニメにしてもドラマにしても勧善懲悪の物語しか知らなかったので、かわいそうな主人公の姉が、死んでしまうということがなかなか納得できませんでした。そういう子供の心理を知ってか、安寿が白鳥と化して弟を見守るという設定は素晴らしかったと思います。子供心にも切なく悲しく、心に深く残りました。

つづきはこちらから


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初めてのステレオ [昔々のこと]

DSC_4227.JPG   

 台風が近づいています。断続的な雨と、ときおり吹き起こるはげしい風、近畿地方はこれからが本番ですが、どうか大きな被害がありませんように。

DSC_4282.JPG

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草の波・・・それにしても、風を写真で撮るのは難しいですね。

 

 窓を閉め切っているのに、山側にある我が庵には雨風の音が容赦なく吹き込んできます。音楽がかき消されるので、ステレオのボリュームを上げて立ち向かってます。

 雨が降ろうが、雪が降ろうが部屋にいる限り、ステレオのスイッチを入れないことはありません。レコード、カセット、CD、ipod、FM、その時々の気分、状況に応じて聞き分けています。テレビが無くても構いませんが、ステレオがない生活は考えられませんね。

 ネットでたくさんのオーディオマニアの方がおられることを知りましたが、若い頃をのぞいて、私の回りの知り合い、ご近所などでもステレオなりオーディオを持っている人の話はあまり聞きません。

 30年40年昔、日本が高度成長期だった頃、我が田舎でも新築ラッシュが起こり、どの家も応接間を作って、百科事典やピアノなどとともにステレオを置くことが流行った時代がありましたが、今はいずれも跡形無しです。

 若い人が、わずかにコンパクトステレオシステムを持っている程度でしょうか。いやそれさえ、今はウォークマンとかipodに変わりつつあると思います。何せ楽曲をネットで配信する時代ですから。

 


 そもそも私がステレオなるものに初めて出会ったのは、いつ頃だったのか、思い返してみると、それは中学生の頃だったと思います。

 我が家は元々貧しく、父は勤めながら兼業の農業を営んでおりました。家には、牛舎や鶏舎の香りはあっても、文化の香りは皆無で、本と言えば毎月一回届く「家の光」という農家の雑誌、音を出すものと言えば、幼い頃は真空管ラジオ、途中からテレビに変わっただけでした。

 今のように機械化されていない当時の農業は四季を問わず忙しく、父も母も子供のことなど構っていられませんでした。子供たちは文化の香りはありませんし、勉強もしませんでしたが、なにか自分たちで工夫して遊んでいたものです。当時はみんながそうだったと思います。

 中にちょっと裕福な家庭がありました。小学校の同級生、akira君という男の子の家がそうでした。そういう家の子はなぜか頭も良くて、運動もそこそこ出来て、学級委員などもつとまるのでした。ただ子供ながらも自分の優位を知っていて、それをちょっと鼻にかけるところが玉に瑕でした。

 この子の家は非農家と言って農業をしておられない家で、遊びに行くとお母さんがいつも家におられ、それがひどく羨ましく思えました。早くからテレビがあり、漫画の本がいっぱいおいてあったので、小学生の頃はよく遊びに行きました。

 ある時、おやつにコンデンスミルクがかかったイチゴが出てきたときは、本当に驚きました。世の中にそんなに甘くておいしいものがあるのを知りませんでした。

 でも小学高学年から中学生に成るにつれ、私は野球という遊びを覚えたので、その後akira君とはあまり遊ばなくなっていきました。

 中学何年生だったでしょうか。一度、akira君の家にお使いに行ったら、おばさんが懐かしがって、akira君は奥にいるから遊んでいくように言いました。

 当時、akira君はすでに自分の部屋を持っていて、母屋を通り抜けた裏の離れにありました。離れの玄関を入ると廊下があり、少なくとも二部屋はあったでしょうか。奥が彼の勉強部屋らしく私は手前の部屋に通されました。

 そこには見たことがない横長の大きな箱が部屋の中心にどんとありました。私が不思議そうに見ていると、彼はそんな私の反応がわかったのか、ちょっと自慢そうに言いました。n2237.jpg

これ知っているか、ステレオっていうんねん。
音が右と左に分かれて出てくるんやで。

 私は彼が何を言っているのかわかりませんでした。音が右と左に分かれて出るとはどういうことなのか。

 ともかく聞いたこともがなかったので、首を振ると、彼はコンソールの蓋を開けて、黒い円盤をターンテーブルの上に載せました。

 しばらくすると、あろう事か、ステレオのボックスの左手の方から、警笛が鳴ってものすごい勢いで蒸気機関車が近づいて来るではありませんか。ガッタン、ゴットン、機関車は次第に音を高め、突っ立っている私の前を横切って、やはり激しく警笛を鳴らしながら右手の方に駆け抜けて行きました。

 呆気にとられている私を彼はさも得意げに見ながら、言いました。

なぁ、凄いやろ。これがステレオや。音楽も聞いて見るか。今、どんなん聞いているの。

 私が口ごもりながらその当時流行っていた橋、舟木、西郷の御三家や加山雄三の名前を言うと、彼は、さぞ遅れているなぁと言わんばかりの口調で、ラジオ聞いてへんのか。今は、こんなんが流行っているねんで。と、一枚のシングルレコードを見せてくれました。

issue_93_2.jpg  「空に星があるように」荒木一郎


 見たことも聞いたこともない歌です。歌手も知りません。ジャケットの写真は御三家や加山雄三に比べてそれほどかっこうよくも見えません。なぜこんな人がと思いました。

 でも、そのステレオという箱からは、素朴で語りかけるような歌声が流れてきました。わかりやすく親しみやすいメロディです。それまでそんな曲は聞いたことがない気がしました。

 荒木一郎は女優の荒木道子の息子です。従ってその後、流行ってくるフォークとは純粋には違うのでしょうが、何となくその後のフォークブームを先取りしたような歌でした。ラジオの深夜放送で火がついたと言うのも、時代に先駆けていた気がします。

 この歌がヒットしたのは1966年だそうです。と言うことは私は中学3年生でした。そしてこの年はビートルズが初来日した年でもありました。田舎の子ながら、いろいろと音楽的にも多感な時にさしかかっていたようです。

 小学生の頃、何度頼んでもエポック社の野球盤を買ってくれなかった両親です。とてもステレオを買ってくれなどとは言えないことは十分すぎるほどわかっていましたが、その後、ステレオのことは、音楽とともに、私の中でずっとあこがれとして生き続けました。


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