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ジャズ喫茶「サムライ」 [マッチコレクション(ジャズ喫茶)]

 私が東京に出た頃は、銀座に続いて新宿駅東口でも歩行者天国が始まった頃でした。西口広場の学生運動はすでに沈静化し、街角のあちこちで無目的化した若者たちが、アンパンと称するビニール袋に入ったシンナーを吸って、ラリっている姿がありました。

 歩行者天国を行く若者たちは、髪を伸ばし、サングラスをはめ、身体にぴったりしたTシャツにパンタロンのジーンズをはいて街を闊歩していました。新宿で石を投げるとデザイナーカメラマンの卵にあたると言われた時代です。

 今もそうかもしれませんが、当時、紀伊國屋書店の前ではいつもたくさんの人だかりが出来ていました。待ち合わせの人たちでした。

 紀伊國屋書店を通り過ぎて、伊勢丹に向かう途中にサムライというジャズ喫茶がありました。私は「PIT INN」に行くつもりだったのですが、見つからず間違えてここに入ってしまいました。

 

 

 

 あとで知ったのですが、「サムライ」と「PIT INN」は同じ経営者で、同じビルの一階と二階にあり、「サムライ」は二階、入り口が新宿通にあって、「PIT INN」はその裏通りに面していました。

 「サムライ」は、細長い作りのお店でした。壁面は無造作に板が張られていただけだったと思います。お金がなかったのか、そういう意匠だったのか、店内は明るくて、当時流行のジーンズのように飾らない気軽な感じのお店でした。

 店の奥のスピーカーの前は静かにジャズを聴く人、階段を上がった奥の方はお喋りも出来るようになっていたようです。

 スピーカーもどこにあるかはっきりわかりませんでした。ただ、店の奥、新宿通の方にある壁から、エキセントリックな音が聞こえてくるばかりです。音がよかったのかどうかわかりませんが、ともかくエネルギッシュな音でした。とくに特殊なツィーターでも使っていたのか、高音がよく伸びて私は好きでした。

 店は30歳くらいのきれいな女性が仕切っていました。この女性が「PIT INN」のオーナーの奥さんだったとは、あとで本を読んで知りました。

 訂正:現在のJazzbarサムライのオーナーであり、当時サムライでアルバイトをされていたJikenさんによると、「PIT INN」のオーナーの奥さんではなく、二代目オーナーの奥さんが正しいそうです。お詫びして訂正します。

 

 細かな配置は忘れてしまいましたが、階段を上がったところにカウンターのようなものがあり、そこにプレーヤーがあって、演奏中のレコードジャケットが立てかけられていたと思います。
 
 その頃、このお店でよくかかっていたのが、チック・コリアとリターン・トゥ・フォーエバー「リターン・トゥ・フォーエバー」や、チックコリアとゲーリー・バートン「クリスタルサイレンス」でした。

 

  

 

 50年代、60年代のジャズとは違う新しいスタイルの音楽、ECM録音と斬新なジャケット写真とともに印象的でした。東京と言う街で、この音楽を聞くと、いかにも先端の街にいるという気がしたものです。

 「サムライ」は、いつの間にか消えてしまいました。たぶん、建物が取り壊され、別のビルに変わったのだと思います。同時に「PIT INN」も裏通りを挟んで向かい側に移動しました。

 「PIT INN」は今は、新宿3丁目のほうに移転しているそうです。潰れてしまったと思っていた「サムライ」も実は健在だったそうで、その後、場所を変え、代を変えて今は「JazzBarサムライ」として生き残っているそうです。その辺のいきさつは、最近図書館で借りた河出書房新社刊「ジャズ喫茶に花束を」に詳しく載っていました。

 


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PekaPeka

30年くらい前、ジャズ喫茶行ったものです。
1時間も2時間も聴いていた。
今考えると、あんなんでどうして利益が出ていたのだろう?なんてつまらないことを考えてしまう。
新宿のPITINNは全国的にも超有名なので、いつかは行ってみたいものだと思っていたものです。
懐かしいなぁ。
by PekaPeka (2007-08-05 19:40) 

そらへい

PekaPekaさんへ
懐かしいですよね。全国のジャズ喫茶、すっかり減ってしまいましたね。
私が東京にいた頃行っていたお店はもうほとんどなさそうです。
残っているお店も、今は大音量ではなくて、お喋り中心のようです。
残っていてくれるだけ有り難いですが。

PIT INNは数回しか行ったことないです。ライブ中心のお店でした。向井滋春4だったかを聞きに行きました。薄暗いアンダーグラウンドな感じのお店でした。
by そらへい (2007-08-05 22:05) 

Jiken

空兵ーSさま、初めまして。

現在のサムライ三代目店主のJikenと申します。
大昔の弊店の思い出話、感慨深く拝読しました。
ジャズ通の方々も、なかなかサムライのことはご存知ないようでして、
こうやって記事にしてもらえて大変ありがたいです。
一箇所事実関係の違いがありましたので、ここでお知らせしておきます。

誤「…この女性が『PIT INN』のオーナーの奥さんだったとは、…」
正「「…この女性が二代目オーナーの奥さんだったとは、…」

当時25歳位だった私は、この清子ママの下で、
アルバイト→首→出戻り→店長→
友人に店長役を譲り渡してニューヨークに渡米し就労しました。
1年半後に帰国し、1979.5.現在の店を始めて独立しました。
おかげさまで来年は30周年になります。

6時からJazzBar営業(無休)ですが、
土曜日の3~6時迄は昔ながらのジャズ喫茶をやってます。
相変わらずお客様が少ないことは宿命ですね。
空兵ーSさまにはネットで盛り上げて頂き感謝に耐えません。
今後ともよろしくお願いいたします。

※当BBS「サムライブルース」などで御記事の紹介なりリンクさせて頂きます。


by Jiken (2008-07-26 15:12) 

そらへい

Jikenさま
こんばんは

返信コメントが遅くなり大変申し訳ありません。
もう少し前に気づいてはいたのですが、あまりに間が開いてしまったので、今更返コメントできなくなっておりました。
今回、返コメントしてみようと思ったのは、最近お知り合いになったブログ「音蔵 Oto-gura~篠笛・畑中久美子の音源倉庫」の記事にJazzbarサムライの名前が出てきたので、驚いたことからです。
何でも本日2012年10月6日Jazzbarサムライにて「墨絵と音楽のコラボ」というライブが催されるそうです。
http://otogura.blog.so-net.ne.jp/2012-10-05-1
めぐりめぐって、4年もたった今、こんなところで繋がるとは驚きでした。

Jazzbarサムライさんのホームページによると、since1979となっているので、ちょうど私が田舎に帰ろうとした頃、お店を開かれたんですね。
それからもう30年あまり、あの頃のサムライが場所を変えて今も脈々と続いているのはほんとうに嬉しい限りです。

by そらへい (2012-10-06 21:21) 

お水番

そらへいさん、こちらに書き込みしてよろしいでしょうか。
篠笛の畑中です。いやあ、いろいろとビックリです。
今日、JazzBar「サムライ」で墨絵と音楽のライブをしたROSSAと、先ほどまで来週のライブのリハーサルをしていて、少し前に帰宅したところです。
10/13(土)、岩本町のEggman tokyo eastというライブハウスで、ROSSAのライブに私もゲストで出演させていただきます。

こちらの記事と、サムライ三代目店主のJikenさんのコメント、さっそく、拝読しました。
サムライの前身が、昔の「PIT INN」と同じ経営者で、「PIT INN」の二階にあったとは驚きです。
実は私、ジャズを聞くようになったのは1980年代で、「PIT INN」には年に何十回も通いましたが、地下のお店でした。最初の「PIT INN」が向かいに移転してからなんです。そらへいさんとも、入れ違いだったようですね。
現在のサムライ三代目店主のJikenさんが今の場所に開店されたのは1979年とのこと。私がジャズを聞き始めた時には既に移転していて、これまた入れ違いですが、そらから30年以上たって、なにやら不思議なご縁で繋がったというわけですね。

ところで、そらへいさんは、ジャズ喫茶のマッチのコレクションもなさっているんですね。
なんと、エスニkック・キッチンのパーカッション氏も、1970年代のジャズ喫茶のマッチ箱やコンサートチケットのコレクションをブログにアップしているのです。是非、のぞいてみてください。
70年代頃のジャズ:
http://dolphin-dance.cocolog-nifty.com/blog/

by お水番 (2012-10-07 00:05) 

そらへい

お水番さん
コメントありがとうございます

サムライの一階にあったピットインには何回か入ったのですが、
そのご移転したピットイン、店の前はよく行き来していたのに入らずじまいでした。
それにしても、本当に30年以上昔のことが今頃、繋がるなんて
インターネットのおかげでしょうかね。

エスニkック・キッチンのパーカッション氏さんのコレクションのページも早速拝見しました。ジャズ喫茶のマッチ、同じものもありましたし、私が持っていないのもありました。この方は、他の喫茶、ロック喫茶などのマッチもコレクションされていますし、70年代の懐かしいライブハウスのプログラムなどもたくさん持っておられて感心しました。

by そらへい (2012-10-08 22:11) 

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